+レシピ2/場所別
函館

  • 函館空港
    ボーイング747型から777型まで、巨大な旅客機が頻繁に離着陸を繰り返しているが、 空港施設はあまり広くはない。
    →イブカが、東京発の到着便から降りて来た。背中の小さなザック以外には荷物も持たず、手ぶらでロビーに出てきた。
    →函館空港に降り立ったマオは、ロビーを抜けてタクシーに乗り込んだ。タクシーが海岸線に沿って疾走し、松風町に近づいている。マオはウィンドウ・ガラスを下ろして、潮風を吸い込みながら、イブカのことを考え始めた。
    →早朝発の便で東京から函館空港に着いた啓は、空港ビルを出て、函館駅に向かうバスに乗り込み、安堵感をおぼえた。
    →ウルフの到着を待っていたアルが、到着ロビーにあらわれたウルフを見て声をあげた。ウルフの手には、ウィスキーの大瓶が提げられていたが、中身が少ししか残っていなかった。
    →タクシーで空港に着いたテッド・ペリーは、すぐ後ろの車から降りたマオを見て 思わず驚きの声をあげた。

  • 空港から函館駅にむかうバス
    →イブカはバスの中で、しきりにぶつぶつと呟いて〔シン〕に指示を送っている。隣の席に座っていた肌の浅黒い中年の男は、窓の景色を眺めながら、ときおり興味深そうにイブカを見やった。

  • 函館駅に近いホテル
    2001年7月に、イブカとアルが宿泊したホテル。函館駅前の傍にある。イブカの部屋からは、函館港が一望できる。函館駅前で夜景の綺麗なホテルといえば、「函館ハーバービューホテル」と思われる。
    →曇り空のもと、夏とは思えない褪(さ)めた海の色に、イブカはじっと見いっている。アルがやってくることをハッキングで知ったイブカは、アルの部屋を予約してやることにした。内線電話でフロントにつなぎ、英語を話しはじめる。
    →アルがホテルのロビーで待っているところにイブカが帰ってきた。ホテルの予約をしてくれたことに礼を云うと、イブカはとぼけて話を反らした。
    →啓がホテルまで、タクシーを乗りつけた。ロビーには、アルとウルフがいた。イブカからの連絡が途絶えて、アルの表情が曇っている。啓は、ロビーの隅にある公衆電話ボックスに入り、電話帳をめくった。
    →タクシーで戻ってきたイブカの手を、啓が飛びつくように取った。アルとウルフもイブカを取り囲む。しばらくして、高木警部補が現れた。
    →昼過ぎになって、イブカがロビーに降りてきた。待っていたアルが、みんなが僕の部屋のいるので一緒に来てくれるよう話した。
    →川村と雪は昨夜から、イブカたちのホテルにいる。アルとイブカは話しているところに、昨夜、ウィルバーを追いかけて飛び出したっきりのウルフが帰還した。アルは安堵の声をあげた。
    →夕方、ホテルのロビーにイブカが降りてきた。待ち構えていたアルは、イブカがロンドンに戻るつもりだと思っていたが、イブカは「風にきいてくれ〜」と云い残して去った。アルは唖然として、イブカを見送った。
    「函館ハーバービューホテル」

  • 函館市電
    大正2年(1913)に北海道で初めて運行された路面電車。車内に、『私の履歴書』と銘打った説明書きがあり、それによると、イブカと啓が乗った車両は旧東京都電7033号で、1970年に函館市電として再出発したという。
    →函館駅から函館山方面に向かう市電に乗ったイブカは、青柳町という電停で降りた。啓が一緒だ。車内では、イブカは夢中で〔シン〕に呟きつづけていた。

  • 函館朝市
    函館駅西口から港に沿って展開する大きなマーケットで、大小さまざまな店舗が400近く密集している。鮮魚から、野菜、乾物、衣類、日用雑貨、生花まで、その種類の多さと、 場内の活気は、函館市内の閑散とした雰囲気からは想像もつかないくらい。
    →シャミット・サガーを案内しながら、菊地章子は生きいきとした売り場の風景に目を見張っていた。シャミットがしきりにディジタル・カメラのシャッターを押している。
    →啓に誘われて朝市に来たイブカが、風にはためく〔いか墨ソフトクリーム〕の、のぼり旗を眺めている。イブカが2つ買い求めた。ふたりは〔いか墨ソフトクリーム〕を食べながら、朝市の巨大なドームに入っていった。
    →ウルフの提案で、アルとイブカは一緒に朝市にやってきた。3人は、何を食べるか話している。まず燃料補給だと、ウルフが威勢良く食堂に飛び込んでいった。

  • 函館朝市の、大衆食堂
    アルとウルフに誘われて朝市に行き、イブカが入った大衆食堂。
    →ウルフがさっそくビールと、イカの丸焼き、ほっけ、ホタテ貝のさしみを頼む。イブカが、うにホタテ丼。アルはトーストとコーヒーを注文した。ウルフがあっという間にビールを飲み干し、お代わりをした。珍しく素直なイブカに、アルが思わず微笑んだ。

  • 松風町
    函館駅の正面から東に広がる町。時おり、松風町の中央部を通り抜けていく路面電車の音も、うら寂しい感じ。閑散としていた町も、夏休みが始まると観光客があふれかえってにぎわいを見せる。
    →ウルフが人出に感心している。イブカが、きらびやかに電飾を施した花電車に目をみはった。アルが観光案内を読んでいる。明日から函館港まつりだと、マオと共に現れた啓が告げる。啓がタクシーを止め、マオを押し込むようにして、去っていった。

  • バー『マリン』
    北海道函館市松風町にある。渡辺ともえはオーナーであり、ママ。普段は雪に任されており、ほかにパートタイムの女性がふたりいる。青柳秀信がバーテンダーとして働く。カウンターに8席と、4人がけのテーブルが5つのこぢんまりとした店で、様々なカクテルを楽しめるが、料理も注文でき、くつろげる雰囲気を醸し出している。川村義之、菊地章子、高木二郎などが常連客。
    →菊地章子が、シャミット・サガーを連れて訪れた。カウンターの端で、テッド・ペリーがじっとこの会話に聞き耳を立てていた。そのテッドの様子を、密かに高木二郎が見つめている。ウィスキーのお代わりを運んできた雪は、高木の視線がテッド・ペリーに注がれていることに気づいた。
    →マオが、ふらりと店に入ってきた。カウンターが満席のため、雪が断ろうとしたが、マオはつかつかとテーブル席に進み、独りで飲んでいたテッド・ペリーの向かいに腰をおろした。「連れではないのだが----」と言いかけたペリーをさえぎって、「ワイルド・ターキーをロックで」と、マオが注文した。マオが運ばれてきたワイルド・ターキーを口に含んだちょうどその時、高木が顔をだした。高木の嗅覚が、マオに敏感に反応していた。
    →テッド・ペリーが小さなテーブルについた数十秒後に、マオが現われた。ペリーに冷ややかに見つめられながら、マオは平然と向かいに腰をおろした。ペリーは沈黙したままだ。マオが、ワイルド・ターキーのオンザロックを水のように飲む。

  • 松風町の喫茶店
    アルが柏木啓と待ち合わせた店。
    →二人の前に、啓に呼ばれてマオが現れた。「なんだ、デートだったのか?」と、マオが真面目な顔でたずねる。

  • 松風町の喫茶店
    川村義之と中島雪が会っていた店。

  • 赤レンガ倉庫群の一角にあるレストラン
    →渡辺ともえと中島雪が、赤ワインを飲みながら食事をしていた。
    →イブカとアルが、柏木啓と夕食にやってきた。イブカがリンゴ・ジュースを飲みながら話題を変えた。啓が、骨付きラムのステーキに手を伸ばした。

  • 赤レンガ倉庫群にある喫茶店
    友人とウィンドウ・ショッピングを楽しんでいた雪がふと覗きこんだ喫茶店。渡辺ともえとシャミット・サガーが深刻な様子で話しこんでいた。

  • 赤レンガ倉庫群の、ある喫茶店
    →イブカの目の前に、巨大なフルーツ・サンディが運ばれてきた。一緒に来たアルが唖然としている。アルが紅茶をすすった。イブカは、店の人間に勧められたローズ・ジャムをアイス・クリームにつけている。

  • 赤レンガ倉庫群の前の岸壁
    ホテルを後にしたイブカが、十数分後、1艘の小型クルーザーに乗り込み出航した場所。
    →風に吹かれながら、イブカはデッキに立っていた。

  • 函館港
    →マーシー・キリング号の寄港地1。カナダのトロントから、約二月間かけて太平洋を横断し函館に入港したのが7月中旬で、それから2週間あまりをロジャーズ夫妻は函館で過ごしていた。
    →函館港の外に出たところで、マーシー・キリング号がイブカを釣り上げた=B

  • 繋留(けいりゅう)施設
    函館山の麓に近い、函館湾の奥まったところにある。大小さまざまのプレジャー・ボートが並んでいる。
    →小型クルーザー『スノー・ビューティー』を接岸させた川村義之は、 釣り上げた魚の入ったアイス・ボックスを肩からさげて岸壁に降り立つと、青柳秀信に電話を入れた。

  • 函館山
    電停十字駅から徒歩10分の山麓駅からロープーウェイが出ている。125人乗りゴンドラが標高334mの函館山の展望台に着くまでに要する時間は3分。
    →菊地章子がシャミット・サガーと共にやってきた。ロープーウェイのスピードに、シャミット・サガーが驚いている。夕闇が迫る函館山の頂上展望台が、雲に覆われているため、菊地章子が気落ちしていた。

  • 元町公園
    函館山の麓の、港を見おろす高台にあり、坂道が何本も港に向かって走っている。公園の近くには、旧イギリス領事館、旧函館区公会堂や、ハリストス正教会が点在し、石畳のうえを観光馬車が行き来している。
    →イブカが、売店で買った茹でたてのとうもろこしに、かぶりついた。啓も、とうもろこしを1本まるごと両手に持って、かじっている。
    →高台にある元町公園から、さらに坂をあがったところに車を停めたテッド・ペリーが、双眼鏡でリヒャルド・シュリーマンの屋敷の周囲をゆっくりと窺っていた。

  • 函館公園
    函館山の麓に沿って元町公園から南に1キロメートルほどにある。明治12年(1879)に英国領事ユースデンらの提唱により、多くの市民の協力で開園した北海道最初の洋式公園であると、ものの本に書いてあるらしい。中には小さな動物園がある。
    →イブカと園内をゆっくり歩きながら、啓が、アルとウルフを見つけた。啓が携帯で話し始め、近づいてきたアルとウルフに、目で挨拶をした。

  • 立待岬
    函館山の南の端で、津軽海峡に突き出た地形のため、晴れた日には、はるか下北・津軽両半島を望む雄大な眺めが楽しめる。切り立つ岩肌に観光客用のフェンスがはりめぐらされており、その十数メートルほど下には、荒波が寄せている。
    →断崖の下で、シュリーマンの変死体がみつかった。現場にやってきた高木がたちあがったとき、少し離れた小高い場所からこちらを見下ろしているイブカと、視線がぶつかる。

  • リヒャルド・シュリーマンの屋敷
    函館山の麓、元町公園からさらに高台の、閑散とした住宅地の奥まったところにある3階建ての邸宅。周囲は塀で囲まれており、非常用発電、警報装置がつけられている。室内には、壁の棚にある置物にカモフラージュされた監視カメラがある。

    書斎
    シュリーマンが、ブランデーを片手に競馬雑誌を読んでいたりする。
    キッチン
    イブカが屋敷に侵入するのに、最初に入りこんだ場所。
    廊下
    地下室に通じる階段がある。
    地下一階
    かなり広い。日本の名品から、朝鮮半島の李朝の青磁など、ところ狭しと陶磁器コレクションが並べられている。焼き物に素人な目からみても、ひとめで高価な品物とわかるような気品が漂う。壁の隠しスイッチで、部屋の奥まったところにある展示棚が動き出し、足元に地下二階への階段が現われる仕組み。
    地下二階の隠し部屋
    虎、ライオン、ゴリラ、熊などの剥製(はくせい)が何体も並び、長さが2メートル近い象牙が何本も陳列されている。猛獣の牙も壁一面に飾られ、床のあちこちには虎などの毛皮が敷かれている。電波妨害機がつかわれており、携帯の使用はできない。
    屋上
    フェンスに囲まれており、身を隠して周囲を見張ることができる。

    →シャミット・サガーと菊地章子は、ウィルバーに案内され地下室に降りた。
    →ウィルバーは、屋上のフェンスに身を隠すようにして、屋敷の周囲を見張っていた。屋敷の電源を止めて忍び込んだイブカは、発見した地下二階の隠し部屋に、閉じ込められた。
    →シュリーマンが朝の散歩にでかけた。秘書のウィルバーが付き添っている。屋敷の近くに停まっていた車を、シュリーマンが覗き込むようにすると、運転席の男が、読んでいた新聞を高く掲げ顔を隠した。高木警部補の指示で張り込みをしていた私服刑事だ。
    →渡辺ともえがシュリーマンの屋敷を訪れた。離れたところからアルと啓が、ともえを見届けている。テッド・ペリーもまた、その様子を車の中から双眼鏡で見つめていた。啓がシュリーマンに電話で話し始めたのを確かめて、アルが屋敷の門をくぐる。ウィルバーに行動を見咎められたともえは、階段を転がり落ち意識を失った。ウィルバーは、地下室で後頭部を陶製の壷で殴られ意識を失った。イブカはペリーに担ぎ出された。いきなり発煙筒か何かを投げ込まれ、階上には煙が立ちこめている。警備会社からガードマンが飛んできて、アルと啓は追い出されてしまった。
    →一人で車を運転して家をでたシュリーマンをテッド・ペリーが尾行する。距離をおいて2台の車を追跡し始めた第3の車には、マオがいた。シュリーマンの車は、山麓に沿った道を南に進み、立待岬へと向かっている。
    →雪と川村がシュリーマン邸に入ったすぐ後から、イブカとアルは屋敷に侵入した。昼間どこかに消えていたウルフが合流し、ウィルバーの逃走に備えて、建物の外を見張って待機している。ウィルバーの拳銃がとどろき、直後に火事が起こった。火事の知らせは函館中央警察署刑事課にも伝わり、高木二郎警部補が現場に出向いた。

  • 隣の家
    シュリーマン邸に隣接する家。シュリーマンから献金を受けている、さる国会議員の別邸で、いまは使われていないらしい。シュリーマンの屋敷と、隣の家は同じ時に建てられている。家の内部は、長い間使われていないせいか、カビのにおいがこもっている。2軒の屋敷は、地下でつながっていたらしい。地下室には運び込まれた剥製と共に、渡辺ともえが閉じ込められていた。
    →ウルフを先頭に、アル、イブカ、啓が、敷地に踏み込んだ。離れたところから暗視スコープでマオが見張っていることを、啓はみなに黙っていた。 ウルフが物音をほとんど立てずに、器用に裏口の錠を壊す。警報装置は、イブカがあらかじめ切断しておいた。イブカたちが敷地から立ち去って、わずか数秒後に、爆発音が轟いた。家が、あっという間に、火柱に包まれる。

  • 五稜郭(ごりょうかく)
    西洋式の城郭の跡で、空からみると濠に囲まれた星形の外城(そとじろ)。幕末にアメリカの要求のもとに外国船に対して函館港を開港した際に、当時、蝦夷(えぞ)と呼ばれていた北海道の防備のために築城されたもの。『箱館戦争』では、五稜郭に立てこもった新撰組の副長・土方歳三が戦死した。現在は公園として一般開放されており、桜の花見が楽しめる。五稜郭の横に五稜郭タワーが建築され、高さ60メートルの展望台から、五稜郭の美しい星型を望むことができる。
    →マオはしばらく五稜郭を見学し、首をかしげ、時計を見て、函館空港に向かった。
    →アルとウルフが、ふたりで景色を楽しんでいた。アルはパッケージに土方歳三の写真が印刷された饅頭手に取って、どういうアレなのかと悩んでいた。
    →星型の濠に囲まれた五稜郭公園の中を、テッド・ペリーがぶらぶらと歩いている。

  • 函館中央警察署
    高木二郎が刑事課の警部補として、所属している。警備課は、国際犯罪情報について担当していた。警視庁では公安部がおこなっている仕事。五稜郭の西にある。
    →高木二郎は警備課の後輩のところに顔を出し、テッド・ペリーについて尋ねた。
    →警備課に駆けつけて来た啓を、ひと目で気に入った高木は、それから親切に調査の手伝いをした。

  • クラブ『ひじかた』
    渡辺ともえが経営する高級クラブ。函館で一番の繁華街で、五稜郭公園の南に広がる市街地の一等地にある。
    →高木二郎の案内で、啓、アル、ウルフは開店前の『ひじかた』に訪れた。渡辺ともえが、奥のボックス席に案内する。

  • 五稜郭の市街地にある喫茶店
    柏木啓とアルが、渡辺ともえと会っていた店。

  • 啄木小公園
    津軽海峡に面して市街地の東側にひろがる、大森海岸内にある公園。26歳の若さで逝った歌人、石川啄木の銅像が置かれている。公園から見える岬の夕景は絶景。
    →啄木小公園前に車を停め、テッド・ペリーは考えにふけっていた。

  • 大森海岸のレストラン
    啓がマオと待ち合わせた店。

  • 函館ホスピタル
    渡辺ともえが担ぎ込まれ、集中治療室で手当てを受けた病院。「国立函館病院」と思われる。市電深掘町駅から徒歩5分。
    →啓の知らせで駆けつけた高木警部補が、頭を抱え込んでいる。そこに、高木からの連絡で、中島雪が駆けつけてきた。
    →啓が小さな果物籠をさげて、渡辺ともえを見舞った。ともえは、集中治療室から個室に移り快方にむかっているようだった。和服姿の中島雪が付き添っている。
    →中島雪は川村義之と共に、渡辺ともえを見舞った。一昨日と昨日の出来事を伝え終えたときに、ノックの音がして、シャミット・サガーが入ってきた。ともえがサガーを紹介する。

  • 函館競馬場
    市の東部のはずれ近く、湯の川温泉の手前にある。競馬場から少し南に歩けば、大森浜という津軽海峡に面した海岸。6、7月の毎週水曜日、午前5時半から3時間あまりを一般客に開放している。
    →ウィルバーが、和服姿の渡辺ともえと一緒に訪れた。イブカはパドックの柵の前で、次々と登場してくるサラブレッドを夢中で見ていた。
    →リヒャルド・シュリーマンと渡辺ともえが訪れた。イブカの横にいたウルフが、ジャンパーのポケットからウィスキーの小ビンを出して一口あおった。
    →馬券を買ってレースを楽しみながらも、シュリーマンを探していたウルフは、パドックに現われたシュリーマンの前に立った。まるで普通の世間話のようにイブカの行方を尋ねるウルフに、シュリーマンの態度は落ち着いている。



  • 松前城跡
    函館から海岸線を西に進んだ渡島半島の南西端、松前町にある。幕末に北方防備の目的で建てられた。正式には福山城といい、現在あるのは復元されたもの。城の一帯は公園になっていて、4月下旬から1ヶ月の間、一万本の桜が咲き乱れる。

    →花吹雪のなかを、イブカが歩いていた。ホワイト・チョコをかじりながら、声を立てずに笑った。

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