京都府
- 京都のホテル
スコットランドヤードが手配した京都のホテル。ウルフとアルが、2000年3月に宿泊した。シングル・ルームが2部屋予約されているのを知り、アルは、ほっとため息をついた。
→ウルフは日本の酒を探すと言って、さっそく出かけて行った。アルは眠い目をこすりながらノートパソコンを開き、レストレードに到着の報告と、トムに誕生日祝いのメールを送った。
→ウルフは昨夜、日本酒を飲みすぎてしまい。まだベッドから出てこない。街の情報を掴みに出ようとしたアルの携帯に、トムからのメールが届く。英国と日本の時差を思いだしたアルは、律儀なトムの笑顔を思い出していた。
→レストレードからのメールを、アルはホテルの自室で受け取った。横にウルフがいる。今日の行動を打ち合わせていたところだ。
→ウルフがアルの部屋で、八ツ橋をバリバリかじっている。ウルフは口いっぱいの八橋を、紅茶で流しこんだ。紅茶を入れ替えて、食べつづけている。土産用の一箱をぺろりと平らげて、まだ、もの足りないようすだ。
→ウルフは暴れまわっていた。ホテルのコンピュータが壊れたといって、係のものが手書きの請求書を持ってきたのだ。ウルフがホテルのバーで飲んだ分の請求だが、1週間で百万円を超えている。アルは、明細を見ながらあきれている。ウルフが請求書を引きちぎった。
- 京都市内のマンション
CIAで借りている、マンションの1室。サリヴァンがアルとウルフに提案し、ヤマギシを運び込んだ。
→明け方になって、ヤマギシがサリヴァンの拷問に近い尋問に屈した。ウルフは立ち会っていたが、アルは途中で逃げ出していた。
- 尺八演奏をするタクシー
サリヴァンのもとに向かうのに、アルとウルフが乗ったタクシー。
→交差点で信号待ちになったとき、運転手がいきなり尺八を吹き始めたので、アルは度肝(どぎも)を抜かれた。さすがのウルフもポカンとなってしまった。アルは、キョートのタクシーは不思議だ!! と思った。
- 啓と潤が宿泊したホテル
2000年3月に、啓と潤が宿泊したホテル。
- 喫茶店
潤が、啓に指定された喫茶店。潤が中に入ると、啓と一緒にイブカがいた。
- 地下鉄
→京都滞在中、1度は乗っておきたいと思い立ったアイリーンは、加美咲と一緒に地下鉄の中にいた。乗り心地は快適だったが、二条城に着く手前で、突然停車し電気が消えた。
- イブカが宿泊したホテル
2000年3月に、イブカが宿泊したホテル。京都駅の近くのようではあるのだが、詳しい場所が不明。
→イブカが愛宕山へと出発しようとしたところに、潤が訪ねてきた。話を聞いた潤は、イブカと一緒に行くことにした。
- 美咲の家
京都で、美咲が借りている一軒家。
→アイリーンを招待した美咲が、自分の正体を明かした。
→美咲、アイリーン、ラヴリィ・ドッグ、啓の4人が、息を飲んでテレビを見つめていた。
- ウルフが入院している病院
2000年3月に、ミーシャに右太股を撃たれたウルフが入院させられた病院。
→病院のロビーで、アイリーンはアルにラヴリィ・ドッグに関する資料が入った封筒を手渡した。
- 安倍ハルトのマンション
新築の、3階建てのワンルーム・マンション。安倍ハルトの部屋は1階の端で、管理人はいない。
→物音を立てずに侵入したイブカに、いきなり蹴られて、ハルトはベッドを転がり落ちた。ハルトがむかってきて、取っ組み合いになったが、暴力などとは縁のない生活を送ってきたハルトに勝ち目はなかった。
→イブカがハルトの部屋に着くと、ハルトは父親の出ているビデオを見ているところだった。イブカが、こりこりと、五色豆をかじりながら、ハルトの横にすわった。
→ハルトのワンルーム・マンションに上がり込んだイブカは、ハルトの姿がないので首をひねった。百人一首の〔字札〕が3枚、勉強机の上に順番に並べられている。イブカは、ちらっと札を眺めてから、持ってきた菓子箱の包みを開いた。イブカが無造作に、〔練りきり〕を食べていると、〔シン〕にハルトからのメールが着信した。
→パリッと音がして、香ばしい胡麻のかおりが部屋に広がった。安倍ハルトのマンションに来たイブカが、胡麻せんべいをかじっているのだった。今日もアルワトソンが一緒にいる。
→イブカが〔湯葉チップス〕を持って、安倍ハルトのマンションにやってきた。
→イブカが『巻物』を凝視しながら考え込んでいた。ハルトは懸命に、英語でアルと話をしている。
→ハルトは、わくわくして、自室にイブカを迎え入れた。イブカは瓦せんべいをかりかりかじりながら、巻物の説明した。
- 和風の喫茶店
一休みしようとイブカ云い、アルと一緒に入った店。
→イブカは〔くずきり〕を頬張りながら、アルに百人一首の説明をした。
- 〔ぱーらーMAIKO〕
以前から一度はやってみたいと思っていた、ウルフの入ったパチンコ屋。
→良く分からないが大勝ちで、ウルフはゴキゲンだった。
→朝食のときにウルフから、昨日の大勝ちの様子をおもしろおかしく語って聞かされたアイリーンが、ちょっと覗いてみたが、けたたましい電子音と、絶叫のような場内アナウンスに、たまらず逃げ出した。
→開店と同時に、ウルフはタクシーでのりつけた。二日酔いではあったがご機嫌だった。ポケットの中には、一万円札が束になっている。
→駆け込んで来た男が、ウルフの玉箱にぶつかった。そのままウルフに抱きつくように倒れ込む。ウルフがののしった時に、銃声がして、パチンコ台が撃ち抜かれた。とっさに床に伏せたウルフが、逃げていく男の後ろ姿に気づき追いかけようとしたが、銃声が続いて再び腹ばいになった。
→これまでの強運がウソのように朝から負けが込み、ウルフは熱くなっていた。昨日の騒ぎで、床に流れた分の玉を返せと店員に詰め寄ったが、相手にされなかった。
- 和菓子屋
食いたいものがあると、イブカが立ち寄った店。店舗と喫茶室つながっている店構え。
→アルが、いぶかしげに和菓子屋の中を見回している。イブカは、運ばれてきた〔鶏卵素麺〕に夢中でアルの話を聞いていなかった。
- 鴨川の下流の岸辺
バーバラとベアトリスに酔い潰されて、捨てられたウルフが流れついた場所。
→鴨川の下流の岸辺に打ち上げられた赤毛の男は、血の気が失せていたが、かすかに呼吸をしていた。通報を受けた救急隊と、警察が同時に到着した。
- 啓が泊まっているホテル
2000年9月に、啓が宿泊していたホテル。
→意識を失ったイブカが、運び込まれた。ようやく目を覚ましたイブカは、啓が買ってきてくれた豆腐プリンをうまそうにたべながら、 自分が寝言をいったことを聞かされ驚いた。
【洛中】
- 京都駅
→巨大な駅ビルの中央コンコース、吹きさらしのガラス屋根の上を、イブカがゆっくりと歩きながら、京都の町並みを眺めている。その頃、駅ビル内では、ガラス屋根の上に誰かいるらしいと大騒ぎになっていた。通報を受けた警備員が、慌てて非常昇降口から確認に行ったときには、もうイブカの姿はどこかに消えた後だった。
→京都駅に着いたサリヴァンは、さっそく調査に取りかかった。
→巨大な駅ビルの最上階までのぼったイブカは、売店で買った『八つ橋』をボリボリかじりながら景色を眺めている。
→マオと啓が、京都駅に到着した。
→アルが改札をでたところで、イブカが、かりかりと、いい音をたてて〔そばぼうろ〕をかじっている。
→京都駅に到着したウルフは、アルが迎えに来ていないのかと、あたりを見回している。アイリーンが一緒だ。
→京都駅ビルの最上階で、イブカが街の景色を眺めている。宇治茶もなかをたべながら、ペットボトルの宇治茶をのんでいた。手首の液晶モニタに映る小説『夜半の月』を、夢中で読み終わったイブカは、新幹線の改札に向かった。振り返ると啓と、その横にマオが立っている。マオの言葉を無視して、イブカは、さっと新幹線の改札を抜けた。
- 京都駅周辺の喫茶店
ラヴリィ・ドッグと安倍ハルトが落ち合った喫茶店。
- 京都タワー
京都駅の北にある、高さ131mのろうそく型のタワー。地下3階・地上9階のビルの屋上がタワーの土台となっていて、中にはホテルやらお店やら大浴場があるらしいです。
→イブカは〔そばぼうろ〕をボリボリかじりながら、展望室でゆっくりと景観を楽しんでいた。
〔場所〕 京都市下京区烏丸通七条下ル塩小路角
〔交通〕JR京都駅中央口から徒歩3分
- 小さなビジネス・ホテル
東本願寺から少し北上したところにある、小さなビジネス・ホテル。2000年3月に、ミーシャが宿泊していた。窓が、隣接したビルに面しているため、外からの光はほとんど届かない。
→苦虫を噛み潰したような顔で、ミーシャが本国にメールを打っている。届いたLDからのメール内容に、ミーシャは壁に拳を打ちつけた。
- 四条大橋
四条駅の西にある、鴨川にかかる橋。橋を渡って東に行けば祇園。
→鴨川べりを散歩していたイブカは四条大橋のたもとにでた。ゆっくりと(多分、橋を渡って東へ)進んでいくと〔にしんそば〕という看板が目にとまった。
- 四条河原町
→イブカとアルが、四条河原町をぶらぶら歩いている。イブカが紙箱からとり出した昆布細工を喰うか?とアルに尋ねて、ぽいと自分の口に入れた。
- 四条河原町にある料亭
→ウルフが、さんざん日本酒を飲んで酔っ払っていた。とっくに2升を越えている。あまり大量に飲むので、係りの女性がお金を持っているのか、暴れたりしないかと心配していた。
→小料理屋の前で、うろうろしていたウルフは、バーバラとベアトリスが誘いに簡単に引っかかった。さんざん飲まされ泥酔状態になったウルフは、巻物の行方を答えて鴨川に捨てられた。
- ヤマギシの拠点
東寺の南、九条大宮にある。羅城門跡は、ここから西方向。
→拳銃を握ったサリヴァンが、ドアを蹴破って中に飛び込んだ。物音がしたとたんに「ヤバイ!」と感じたヤマギシは、裏口から逃げ出した。羅生門交差点を通って、九条大宮へ向かっていたアルとウルフが、九条大宮から羅城門跡へ続く道を走るヤマギシに気付いた。アルの制止むなしく、サリヴァンが駆け付ける前に、ヤマギシは暴走したウルフのパンチによって気絶した。3人は人目を避けて、気絶したヤマギシを担いで、いったんヤマギシの拠点に戻った。
- 四条大宮駅
京福電鉄嵐山線のターミナル駅。
→嵐山をはやばやとあとにしたイブカが、四条大宮駅におりたった時、〔シン〕がメール着信を知らせてくれた。
- 京都府警察本部
2000年3月に、『ホテル・コンピュータハッキング対策本部』が作られた。警視庁・国際組織犯罪対策チームの啓が、応援に呼ばれた。後に対策本部は、『ハッカー緊急対策本部』へと名前が変わった。
→『ホテル・コンピュータハッキング対策本部』の会議に、啓が参加していた。
→ハッキング対策室の担当官は、ICPO職員になっていた啓を、ほれぼれと見つめていた。
→国際的なヘッド・ハンンターズを追跡して、スコットランドヤードから派遣されてきた捜査官だと、啓はアルを、京都府警に紹介した。京都府警察本部から出てきたところで、アルは啓に礼を述べた。
→パチンコ屋で大暴れして逮捕されたウルフの釈明に、アルとアイリーンが訪れた。
- 東本願寺
浄土真宗大谷派の総本山。
→世界最大級の木造建築である御影堂の、かわら屋根の上で、イブカが〔ちまき〕を、むしゃむしゃとほおばっていた。
〔場所〕京都府京都市下京区烏丸通七条上がル常葉町754
〔交通〕JR「京都」駅下車、徒歩5分
- 晴明神社
堀川今出川にあり、平安時代の陰陽師(おんみょうじ)、安倍晴明(あべのせいめい)を祭神としてまつっている。2000年9月にイブカが訪れた時は例祭の宵宮祭、翌日が神幸祭と呼ばれる本祭だった。
→〔焼き餅〕を歩きながら食べているイブカと潤が、晴明神社と一条戻り橋にむかっていた。イブカと潤が、晴明神社の境内に入る。何人かの観光客に混じって、美咲とアイリーンもいた。ロンドンから帰国し、京都駅からまっすぐ晴明神社にやってきた安倍成明に美咲が駆け寄った。
→晴明神社の社務所の一室に、イブカ・潤・美咲・アイリーン・安倍成明の5人が座っている。美咲が、ハルトの起こした事件をかいつまんで説明した。
→イブカとハルトが会っていた。
→晴明神社の祭り、神幸祭は、少年鼓笛隊、鉾、飾り馬、それに神輿などが
周辺を練り歩き、おおいに盛り上がっていた。境内は、人出で埋まっている。今がチャンスだとイブカに言うと、ハルトは神社の裏に忍びこんで行った。ぽかんとハルトを見送った。境内の人出にあてられて疲れを感じたイブカは、ポケットから、ビタミンCレモンを取り出して口に放り込んだ。
→安倍成明は、午前中、大学に少し顔を出し、すぐに出かけた。あたりに注意をはらいながら、美咲は、きょうも安倍の行動を追っていた。
→イブカとアルが訪れた。願い事や、感謝の言葉が書かれた『絵馬』が鈴なりにぶら下がっているところに少しずつずらして重ねられた札が、吊されていた。
→〔きつねせんべい〕をかじりながら、イブカが晴明神社の境内をうろついている。橋本久司と平田平吾が、離れたところからイブカを見張っていた。
- 一条戻橋
晴明神社のすぐ近くを流れる、一条通の堀川にかかる小さな橋。この下に、安倍晴明が式神(しきがみ)を置いていたという言い伝えがある。
→日本史の研究で、近くの寺院まで調べ物にきていた安倍成明助教授と美咲がいた。安倍助教授と別れ、歩き始めた美咲が怪しい気配に、ふと振り返ると、ナイロン・ストッキングを頭から被った二人組に安倍成明が襲われるところだった。
→イブカは、深夜の一条戻橋にたたずんでいた。ときどき、粟餅をちぎってはかんでいる。ずいぶんと長い時間イブカは、一条戻橋の欄干にもたれていた。夢中になって考え事をしていたので、足音に気づいて振り返ったときにはもう、目の前に男が二人立っていた。いきなり濡れた布を顔に押し付けられた。とっさに息を止めたが、いくらか薬品を吸い込んでしまう。クロロフォルムのようだ。イブカの意識が遠のいていったとき、啓が現れた。橋本と平田はイブカを抱えあげようとしたが、暗闇の中で燃えているマオの目を見て、イブカを捨てて逃げ出した。
〔場所〕京都府京都市上京区
〔交通〕市バス「一条戻り橋」下車
- 三十三間堂(さんじゅうさんげんどう)/蓮華王院(れんげおういん)
京都駅から東に進み七条大橋を渡り、300メートルほど行った場所にある。1001体の千手観音象(せんじゅかんのんぞう)をおさめるお堂の長さは約120メートル。
→南大門近くで、ミーシャが現れるのを待っていたサリヴァンの前に、大勢の部下を連れたミーシャが現れた。ラブリィ・ドッグを追っていたマオは、前方の、ナイフを持つ男達に気付いた。さっと銃を抜いて構えたマオに、男たちは逃げ出した。倒れていたサリヴァンは、「アメリカ大使館に…」と言い残して息絶えた。
→ミーシャは手下を1人だけ連れて、三十三間堂の中に入った。赤外線スコープ付きのライフルを手にしたアイリーンが、美咲と一緒に北側の仏像の陰で息を潜めている。殴り倒したラヴリイ・ドッグを運び去るミーシャ達に、アイリーンが発砲した。
→アルとウルフは、三十三間堂を外から見張っていた。撃たれた右手を抱えるミーシャと、数人の男が駆け出してきた。飛び出したウルフが右の太股を撃たれ、弾かれたように転がった。アルが駆け寄る!車道を横切って闇に逃げ込むミーシャの背中に、小さな粒が飛んできて、くっついた。ウルフの悪運の強さに、イブカが声を立てずに笑った。
〔場所〕京都府京都市東山区三十三間堂廻町
〔交通〕京阪本線「七条」駅下車、徒歩10分 市バス「三十三間堂」下車
- 北野天満宮
北野天満宮は、平安時代の学者であり政治家でもあった菅原道真(すがわらのみちざね)をまつっている。地元の人たちは「天神さん」と呼んでいる。
→北野天満宮近くの西陣で、マオ・リーがミーシャを尾行していた。天満宮の付近まで来たミーシャが、ふらふらと歩いているハルトを見つけた。後ろから近づき、引き金に指が掛かった瞬間、ミーシャはいきなりマオに肩を蹴られた。ハルトは慌てて逃げ出したが、途中で思い直して様子を見に戻った。
→粟餅屋を出たイブカと潤は、天満宮をのんびり歩いていた。イブカは、境内のいたるところにまつられている大小さまざまな牛の像を見ては喜んでいる。境内で潤と離れてフラフラ歩いているイブカの姿を見つけたマオは、イブカがひとけのないところに行くのを待って、マオはそっと後をつけた。境内のはずれでイブカに銃を向けたマオの首筋に、背後からラヴリィ・ドッグが銃を当てた。イブカはニヤリとわらって、二人の前から姿を消し、境内を早足で抜けていった。
〔場所〕京都市上京区馬喰町
〔交通〕市バス「北野天満宮前」下車
- 北野天満宮近くの粟餅(あわもち)屋
こし餡ときな粉の2種類があって、抹茶がよく合う。「粟餅所澤屋」と思われる。
→イブカと潤が、もくもくと粟餅を食べている。
- 安倍ハルトの隠れ家
北野天満宮近くに、あるらしい。
【洛東/東山】
- 〔にしんそば〕という看板がある店
鴨川べりを散歩していたイブカが、四条大橋のたもと付近でみつけた店。にしんそばで有名な「総本家にしんそば松葉」ではないだろうか?
→イブカは、さっそく飛びこんで〔にしんそば〕を注文した。
★「総本家にしんそば松葉」
〔場所〕京都市東山区四条通大橋東詰南座西隣BR>
〔交通〕京阪本線四条駅6番出口から西へ徒歩1分。駅の地下出口を出てすぐ、南座の西隣にある。
〔時間〕10:30〜21:30 休日:水(祝の場合営業)
- 祇園
都市の中心部、八坂神社を中心とする地区で、北は白川南通・新橋通から南は団栗通まで、西は大和大路から東は東大路までの区域。四条通を境に南側はお茶屋が並ぶ、風情のある町並みで、北側は飲食店、酒場などの立ち並ぶ歓楽街となっている。舞妓や芸妓の姿も見られる。
→ラヴリィ・ドッグと安倍ハルトが祇園に向かっていた。アルとウルフが、後をつけている。
→ミーシャは東大路通を北上し、祇園にむかっていた。サリヴァンの尾行に気付き、予定を変更して五条坂に折れた。
〔場所〕京都府京都市東山区
〔交通〕京阪本線「四条」駅又は阪急京都線「河原町」駅下車
- 舞妓の衣装を着て写真がとれる写真館(舞妓の着付けをしてくれる店)
祇園の南のはずれにある。舞妓のアルバイトをしている美咲は、週に何度か、この店で衣装を着こみ人力車でお座敷に向かう。場所的に見て、「舞香」でしょうか?
→あでやかな舞妓姿のアイリーンが、鏡の前でにっこりと微笑んでいた。人力車に乗りこもうとしていた美咲に、一緒に乗せてくれるよう頼んだアイリーンは、そのまま茶屋の座敷に通されてドキドキした。
→美咲に祇園を案内されたアイリーンは、前方からアルがやってくるのに気がついた。横にウルフがいるが、アイリーンの目にはまったく入っていない。アイリーンは度胸を決めて、すれ違いざまにアルに抱きついた。うろたえたアルは、アイリーンの声を聞いて呆然とした。
→再び舞妓姿になったアイリーンはごきげんだった。横で、やはり舞妓の衣装をつけた美咲が微笑んでいる。
★「舞香」
- 祇園の茶屋
ミーシャが情報屋と会った店。
→ミーシャは高い金を払って、LDに関する資料をやっと手に入れた。
- 祇園の、とある茶屋
→茶屋の一室で、ミーシャとラヴリィ・ドッグが会っていた。少し離れた空き部屋で、情報屋が様子を伺っていた。
- 祇園にある某お茶屋
祇園には、いっぱい茶屋があるので、ミーシャが利用したのが毎回同じ茶屋かは不明。
→ハルト、ラヴリィ・ドッグ、ミーシャが、茶屋の座敷で会っていた。そのお茶屋の外で、アル、ウルフ、そしてサリヴァンが見張っている。サリヴァンは店を出て来たミーシャを、アルはハルトを尾行し、ウルフがラヴリィ・ドッグの後を追った。
- 祇園の料亭
2000年9月に、マオが、啓の誕生日を祝うのに訪れた店。二人はワインを飲んでいた。
- 祇園の、ある料亭
→マオが離れで、情報屋と会っていた。情報屋に聞き返してから、マオは、日本酒を口に含んだ。
- 祇園の、小さな茶屋
パチンコで勝ち続け、有名な祇園で豪遊してみたくなったウルフが、ホテルのフロントに適当な店を探してもらい、予約を頼んだ店。
→タクシーから颯爽と、ウルフが降りてきた。ポケットには数十万円の現金が押し込まれている。数時間後、浴びるように日本酒を飲んだウルフは、ふらふらしながら舞妓の真似をして踊りだした。だが、頭がまわり、足がもつれて、どっと倒れこんだ。
- 祇園にある、1軒の茶屋
→舞妓姿の美咲が、舞妓4人を従えて入った。隣の座敷で、ベアトリスとバーバラが、ある情報屋と会っていた。
- 二条城
→〔生八ツ橋〕を持ったイブカが、見物をしている。豊かに水をたたえた濠のまわりを歩いているときに、〔シン〕が“Ib”関係の警察情報をキャッチした。
〔場所〕京都市中京区二条通堀川二条城町
〔交通〕市バス「二条城前」下車 地下鉄東西線「二条城前」駅下車
- 哲学の道
若王子神社(にゃくおうじ・じんじゃ)から銀閣寺にいたる、琵琶湖疎水の一部に沿う静かな遊歩道。
→イブカは八ツ橋をかじりながら歩いていた。幾つかの八ツ橋を食べ比べて、同じ細長い形でも、店によって味が違うんだな〜、と妙なことに感心している。 イブカは、八ツ橋を食べ過ぎて少し腹がきつくなった。
→イブカは、あたりの景色をみながら、ときどき手首のモニタに目をやっていた。安倍晴明の『巻物』に感心しながら、イブカは梅干をつまんだ。
- 平安神宮
→五色豆をポリポリかじりながら平安神宮を歩いていたイブカは、立ち止まって豆の入った袋を眺めた。それから少し歩いて、平安神宮の朱塗りの社殿と緑の瓦屋根を見上げ、再び立ち止まる。なんだかニセモノくさい。
〔場所〕京都市左京区岡崎西天王町97
〔交通〕市バス「京都会館美術館前」下車
- 京都市動物園
日本で二番目に開園された動物園。
→「動物をオリにいれたらダメだ〜」とつぶやきながら、イブカは考え込んでいる。うなりながら、ビニール袋に指を突っ込み、賀茂ナスの漬物をつまみだした。
〔場所〕京都市左京区岡崎法勝寺町岡崎公園内
〔交通〕市バス「動物園前」下車 地下鉄東西線「蹴上」・「東山」駅下車、徒歩10分
- 六道の辻
東大路から松原通に入った場所。すぐ近くに祇園や八坂神社がある。六波羅蜜寺を北上したあたりに碑が立っており、この辻を東に曲がると六道珍皇寺。この辺は昔、死人を野積みにしており、地獄との連絡通路もあったらしい。
→通りかかった美咲は、頭痛が起きて、こめかみに手をあてた。このあたりを通行すると、美咲はきまって頭が痛くなる。
→イブカが、立ち止まったアルが、寒そうに肩をすぼめる。まだ日没には間があったが、二人ともなんとなく妙な感覚に囚われていた。数枚の字札に気づいたアルは、石でつくられた道標に向かった。
→イブカとアルが、六道の辻を歩いている。アルはこの場所を通ると、なんだか世界がブレているように感じていた。イブカが〔幽霊子育飴〕をなめながら、話をしていたイブカが、尾行されている気配を感じて、さっと振り向いた。
→腕のいいスリとして、警察と、犯罪世界で有名だった男の死体が発見された。
→前方を歩いているバーバラとベアトリスに、啓は注意を傾けた。格闘の末、啓は二人の身柄を確保するのに成功した。
- 六道珍皇寺(ろくどうちんのうじ)
→イブカは境内で、すぐ近くの店で買った〔幽霊子育飴〕をなめながら、ハルトを待っていた。二人から見えないところで、ラヴリィ・ドッグが小型の高性能集音マイクを使って、やり取りを聴いている。
★六道珍皇寺の近くに、「みなとや幽霊子育飴本舗」がある。
- 地主神社(じしゅじんじゃ)
清水寺(きよみずでら)の奥にある、〔えんむすびの神さま〕として、若い女性を中心に人気がある神社。恋占いおみくじが毎日飛ぶように売れている。
→美咲と連れ立ってやってきたアイリーンが、さっそく引いたおみくじは『凶』だった。美咲は『大吉』。
→休憩時間を利用して、啓が市内観光にやってきた。おみくじを引いてみると『吉』と出た。
→アイリーンは、アルを強引に誘って地主神社にやってきた。アルは、あまり気が進まなかったが、昨日、ウルフの引き取りに付き合ってもらったので、断れなかった。アイリーンが、まっすぐ、恋占いおみくじ売り場にアルを引っ張って行く。しかし二人が引いたおみくじは、どちらも『凶』だった。
〔場所〕京都市東山区清水(清水寺内)
〔交通〕市バス「五条坂」・「清水道」下車、徒歩15分
- 地主神社の近くにある茶店
→イブカは〔ワラビもち〕を食べていた。遊び半分に金を払って引いたおみくじを開いてみると、『中吉』と出た。
→空いてる席を探していた啓は、イブカに気付いて声をかけた。
- 清水寺
木造、懸崖造りの舞台は、徳川家光が寄進したもので、京都市内が一望できる。
→イブカは清水の舞台から、景色を見渡していた。〔七味せんべいが〕口の中でヒリヒリして、イブカは涙ぐんでいた。
→サリヴァンに追われたミーシャは、東大路通から五条坂に折れ、それから三年坂とも呼ばれている産寧坂(さんねいざか)に入った。左右にみやげもの屋が並び、観光客でにぎわっている清水坂に入ると、早足で坂を登りきり、仁王門の石段を駆け上がって清水寺に飛び込んだ。観光客がほとんどいなくなった清水の舞台で、ミーシャがイブカの後ろを駆け抜ける。すぐ後から、サリヴァンが走ってきた。
→清水寺に駆け込んだラヴリィ・ドッグを追い、ウルフは閉まりかけた門に力いっぱい体当たりをして飛びこんだ。ラヴリィ・ドッグに撃たれたウルフが、清水の舞台にいたイブカの近くに転がってきた。二発目の銃声で、イブカとウルフの間の床がはじけた。三度目の発砲で、ウルフの肩口から鮮血が飛び散り、体が宙に舞う。 イブカはとっさに〔クモの糸〕を使い、墜落の衝撃を和らげた。
〔場所〕京都市東山区清水1丁目
〔交通〕市バス「五条坂」・「清水道」下車、徒歩15分
- 清水坂
→清水坂をのぼりながらイブカは、のどあめを一つ口に放り込んだ。大勢の人並みにもまれながら、しきりに首を傾げている。反対側からきた修学旅行の一団を、ひょいひょいとよけながら歩いていたイブカが何かに躓いた。
→イブカが、アルと清水坂を歩いている。イブカは、近くのみやげ物店で買った〔ひやし飴〕を飲んでいた。
→ついさっきまで情報屋と会っていたマオが、清水坂を歩いている。
→柏木啓とマオが清水坂の雑踏をゆっくりと歩いている。啓は、フランス人の二人組を捜しているところだった。
【洛北】
- 大原
京都駅発の同じバスで、イブカ、アイリーン、美咲が大原へと向かった。
→イブカはバスを降りて東に進み、美咲とアイリーンは西へ向かった。
- 大原にある、一軒の茶屋
→イブカが入って、〔くずきり〕を頼んだ。
- 三千院
→イブカはヘッドフォンのノイズ・キャンセラーをオフにして、身体で声明を聞いていた。
〔場所〕京都市左京区大原来迎院町540
〔交通〕京都バス「大原」下車、徒歩10分
- 寂光院(じゃっこういん)
→美咲とアイリーンが訪れた。『平家物語』のさわりを聞きながら、空想の世界に浸りきっているアイリーンは、うっすらと涙を浮かべた。
〔場所〕京都府京都市左京区大原草生町
〔交通〕京都バス「大原」下車、徒歩15分
- 京都府立植物園
→植物園に着いたアルとイブカは、花壇の脇でしょんぼりしているハルトを見つけた。
→植物園の正門脇に柏木啓が立っている。アイリーンが、美咲と連れ立って現れた。啓は、警察と連携をとりつつ、自分たちもフランス人を追跡しようと提案したのだった。
〔場所〕京都市左京区下鴨半木町
〔交通〕地下鉄烏丸線「北山」駅下車、市バス「植物園前」・「植物園北門前」下車、徒
歩5分
【洛西】
- 金閣寺(鹿苑寺)
R大学の近くでバスを降り、北に向かって坂道を登ると、「きぬかけの道」という看板がある。庭園に入ると、池の中に金閣が建っている。
→イブカは入口で、入場券の代わりに「金閣寺舎利殿御守護」と書かれたお札を渡された。
→二日酔いで昼まで寝ていたウルフが、突然行ってみたいと言い出して、アルトウルフがやって来た。正面入り口から、大きな池を時計回りに半分ほど来た時に、ミーシャを見たウルフが突然アルの腕を掴んだ。その様子を、遠くからLDが見ている。ウルフが男にむかって歩き出し、一瞬遅れてアルも続いた。ミーシャは逃げることに決めた。
〔場所〕京都市北区金閣寺町
〔交通〕市バス「金閣寺道」又は「金閣寺前」下車
- R大学
加賀野美咲が在学している大学。安倍成明が日本史を教えている。「立命館大学」と思われる。
→平安時代の呪術について、安倍成明に話を聞きにきた美咲が大学を出てきた。”お気に入り”のケーキを食べに喫茶店に向かう。
→日曜日で、R大学には学生の姿はまばらだが、詰めかけた報道陣が安倍成明助教授のもとに押し寄せている。安倍のかたわらで、美咲が対応に追われていた。少し厚めのメイクをして、素顔は見せないようにしている。
→R大学の学園祭は、今日が最終日だった。一緒にきたアルに腕を絡ませて、ごきげんのアイリーンは足取りも軽く、R大学のキャンパスを歩いている。アイリーンがウルフにもらったのだと、バッグから取り出した古めかしい巻物に、アルは自分の目を疑った。
→安倍成明助教授の研究室に、イブカとハルトが訪れた。ハルトは、イブカが普通の話し方もできるのだと、妙に感心している。R大学からでてきたイブカは、千枚漬けのパックを開いて、ぼりぼりかじり始めた。
- きぬかけの道
→龍安寺で会ったイブカと別れた後、一人で散歩をしていた啓は、いきなり現れたマオに声をかけられ驚いた。イブカを探すマオは、啓をマークすることにしたのだ。
- 喫茶店
金閣寺を出た道で、イブカの目に付いた喫茶店。美咲の”お気に入り”のケーキがある。
きぬかけの路沿いにある「まざあぐうす」と思われる。「かぼちゃにプリンが埋まってるケーキ」は、「かぼちゃの馬車」という名前らしい。
→イブカは、かぼちゃにプリンが埋まってるケーキを頼んだ。静かな店内で、のんびりと好きなケーキを楽しんでいた美咲は、なにやらブツブツ独り言をいっているイブカに気づいて興味を覚えた。
→ミーシャとラヴリィ・ドッグが合う約束をしていた場所。ミーシャが龍安寺からやってきたときには、先にきていたラヴリィ・ドッグは、かぼちゃにプリンが入ったケーキを食べていた。
★「まざあぐうす」
〔場所〕京都市北区平野宮敷町10−1
〔時間〕AM10:00 CLOSE22:00 (年中無休)
- バス停
金閣寺近くにある様子。
→バス停で本を読んでいた美咲は、イブカの存在に気付いた。二人が乗りこんだ同じバスに、ミーシャが飛び乗ってくる。アルとウルフが駆けつけて来たときには、もうバスは見えなくなっていた。
- 龍安寺(りょうあんじ)
京都駅から市バスで40分ほど、きぬかけの道沿いにある。15世紀半ばから今日まで続く、禅宗(臨済宗)の名刹(めいさつ)として名高い寺で、とりわけ、その石庭は、世界的に有名。東西に30メートル、南北に10メートルの庭に、15個の石と、白い砂利を敷き詰めただけのシンプルな構成で、『禅』の極致が表現されているといわれる。 イブカが訪れたときには、大雨の被害らしく、庭を囲む土塀の一部が崩れ落ちていた。
→啓、潤と待ち合わせたイブカは、早めに着いて独りで見物している。二人で鑑賞していた啓と潤は、イブカと合流し、3人で名物の湯豆腐をつついていた。
→ラヴリィ・ドッグとハルトが並んで、石庭を見ながら座っている。
→石庭を眺めていたミーシャは、龍安寺を後にして、ラヴリィ・ドッグと会うために約束の場所(喫茶店)に急いだ。
→アルとウルフが石庭を前に、座っている。情報屋から、龍安寺に注意を向けるように云われたアルは、何度も石の数をかぞえてみた。(>そこじゃないよ、アル!) マオがやってきて、音を立てず、黙ってアルの隣に腰をおろした。何気なく横を見たアルは、「あっ!」と声をあげた。
→アル達が去った後、アイリーンは美咲と連れ立って石庭の前にたたずんだ。美咲は、なぜかR大学の安倍助教授を思い浮かべていた。サリヴァンが現れて、アイリーンの近くに座る。
→アル、ウルフ、アイリーンの3人は石庭に面した縁側に腰をおろした。アルは、何度も石の数をかぞえている。アイリーンは、ぴたっと、アルに寄り添うようにして座っていた。ウルフは「けっ、つまらねぇ」と、吐き捨てるように言った。
- 嵐山
→午前中に京都中央病院を退院し、R大学に顔をだした安倍成明が、昼過ぎから嵐山に向かっていた。襲撃に警戒した美咲は武器を携行して、そっと安倍助教授のあとをつけている。
- 渡月橋(とげつきょう)
→イブカは京福電鉄嵐山駅をでて南へ、渡月橋をわたっている。
→渡月橋の途中に立ち止まって、アルがあたりを見回した。イブカが指差した橋の欄干に、3枚の〔字札〕が貼り付けてあった。
→橋の真中で、笹にくるまれた小さな〔ちまき〕を食べながら、イブカが考え込んでいた。
〔場所〕京都府京都市右京区嵯峨天龍寺
〔交通〕京福嵐山線「嵐山」駅下車 阪急嵐山線「嵐山」駅下車、徒歩5分 市バス「嵐山」・「中ノ島公園」下車
- 岩田山自然遊公園(嵐山モンキーパークいわたやま)
数百頭のニホンザルが集団で暮らしている。遊園地の中ほどに、猿を観察する〔小屋〕があり、人間が中に入って、まわりのニホンザルを観察できるようになっている。
→〔おからクッキー〕をほおばりながらイブカは、猿の群れを眺めていた。
→イブカが去った後に、アイリーンと美咲がやって来た。猿が、アイリーンの持っていた〔おからクッキー〕を奪っていったのだ。
→サルを追いまわして、ウルフがはしゃぎまわっている。ウルフから離れて、途方にくれているアルを見つけたアイリーンは、アルの側に駆け寄っていきなり抱きついた。アイリーンは、アルに美咲を紹介した。
〔場所〕京都市西京区嵐山元禄山町8
〔交通〕京福嵐山線「嵐山」駅下車、徒歩5分 阪急嵐山線「嵐山」駅下車、徒歩5分 市バス「中ノ島公園」下車、徒歩3分
- ミーシャの隠れ家
太秦(うずまさ)にある。情報屋のヤマギシが口を割って、場所が明らかになった。
→アル、ウルフ、サリヴァンの3人がが踏み込んだときには、もぬけの殻だった。ミーシャは、いちはやく危険を察知したらしい。
- 空也の滝
京都の西北に位置する愛宕山(あたごやま)の、中腹にある滝。平安時代の名僧・空也が、この滝に打たれ修行したことから、こう呼ばれるようになったという。標高924メートルの愛宕山頂上には、火の神を祭る愛宕神社があり、古くから朝廷や民間の信仰を集めてきた。京都駅からバスでおよそ1時間。清滝で下車し、そこから2時間ほど登れば山頂に着く。
→甘納豆をうまそうにほおばりながら、滝の前まで登ってきたイブカと潤は、白装束で空也の滝に打たれているハルトに気付いた。水が凍るように冷たいが、ハルトは何も感じない。イブカはポカンとした。滝に入っている少年が、LDこと安倍ハルトだと教えられて、潤は自分の目を疑った。
- 京都中央病院(京都民医連中央病院)
JR円町駅より西南。安倍成明が入院し、鴨川で発見されたウルフが搬送された病院。
→見舞いに訪れた啓は、ICPOのエージェントであると身分を名乗った。
→ウルフの見舞いに訪れた啓が、現在の仕事を説明した。
→ノックがして、見舞いのフルーツ・ジュースを持ったアルと、アイリーンが入ってきた。
→ウルフは入院中のベッドの上で、看護婦が貸してくれたコンピュータ・ゲームに夢中になっている。
【洛南】
- 安倍家
安倍ハルト、父親の成明、ハルトの母親の3人が住んでいる。宇治川と、JR宇治駅の中間くらいにある一軒家。
→LDが、家を見張っていた。成明は、自分の家が誰かに見張られている怪しい気配を悟った。ハルトはマシンに向かい、潤にメールを打っていた。
→成明は、ハルトを自室に呼びつけた。
- 宇治駅
→京都観光に少し飽きたイブカは気分転換に、JR線に乗って宇治にきた。京都駅から宇治駅まで25分もかからない。
- 宇治橋
→宇治橋のあたりで、イブカは〔抹茶ソフトクリーム〕を買ってみた。イブカはあまり元気がなかった。
〔場所〕京都府宇治市
〔交通〕JR奈良線「宇治」駅・京阪宇治線「宇治」駅下車
★橋の側にある「宇治駿河屋」という〔茶だんご〕で有名な和菓子の店で、〔抹茶ソフトクリーム〕を売っている。
- 平等院
→イブカは、せっかく宇治まで来たので平等院をみることにしたが、さほど気乗りがしない。さまざまな国宝類を眺めて歩いたが、レプリカばかりで本物はどこにあるんだろうと、いぶかりながら平等院を出てきたところで、美咲とぶつかった。
〔場所〕宇治市宇治蓮華
〔交通〕京阪宇治線「宇治」駅 JR奈良線「宇治」駅下車、徒歩10分
- 〔宇治市源氏物語ミュージアム〕
→美咲とアイリーンが、一緒に訪れた。ここが観光のお目当てだったアイリーンは、すっかりはまってしまった。翻訳された『源氏物語』を読んだことのあるアイリーンは、光源氏が暮らしていた六条院の模型に、自分とアルを配置して、うっとりと見とれていた。
〔場所〕宇治市宇治東内45-26
〔交通〕JR奈良線「宇治」駅下車、徒歩30分 京阪宇治線「宇治」駅下車、徒歩10分
- 伏見
酒作りの町で、古い町並みに酒蔵が立ち並ぶ。
→重そうなバッグを手に提げた安倍助教授のあとを、美咲がそっとつけている。行き先は、どうやら伏見らしい。(昨日は、嵐山、きょうは伏見…目的は?…)
→伏見まで来たイブカは、途中で買った〔わらびもち〕を食べ始めた。勧められた〔わらびもち〕を、そっとつまんだアルが、今日の場所を確認している。イブカは、口をもごもごさせながら、〔シン〕にコマンドを出した。
→造り酒屋の前を、イブカとアルが歩いている。アルが、軒下に吊るしてある杉玉(すぎだま)を指差した。その杉玉に百人一首の札が刺さっていた。
- 伏見稲荷駅
→京阪本線・伏見稲荷駅で下車したイブカは、ゆっくりと東の方へ歩いた。あたりの景色をぼんやりと眺めながら、〔麩まんじゅう〕をほおばっている。
- 伏見稲荷大社
京都駅から、JR奈良線で5分南にいくと稲荷(いなり)駅、駅から5分ほど東に歩くと、伏見稲荷大社がある。参道には、いなり寿司や、すずめ焼きの店が軒(のき)を連ねてにぎわっている。朱入りの鳥居がいくつもある。
→イブカは〔きつねせんべい〕をかじりながら、どーしたもんかと考えた。
→伏見桃山城から、昼過ぎに伏見稲荷のほうにまわってきたアイリーンは、石でつくられた狐をみつけては、はしゃいでいた。 朱入りの鳥居がいくつもあるにも、感心している。
〔場所〕京都市伏見区深草薮之内町68
〔交通〕市バス「稲荷大社前」下車 JR奈良線「稲荷」駅下車 京阪本線「伏見稲荷」駅下車
- 伏見桃山城
→アイリーンは、午前中に伏見城の一帯を見物した。
- R大付属高校
ハルトが通う高校。「立命館高等学校」、「立命館宇治高等学校」のどっちだろう?
→ハルトに呼ばれたイブカとアルが、R大付属高校の「陰陽道研究部」クラブ活動用の部屋にいた。
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