現在では地球生理学の観点から、地球を浄化する生態系を人間の手によってつくり出そうという新たな試みがなされている。ブレインという名の研究者を中心に、地上においてはヘスペリデスを拠点に研究が進んでいるが、この活動に異を唱える者も少なくない。レフレクターと呼ばれる反地球派集団の一派は、人間を地球に還すべきではないという過度の環境保護主義の観点から、このバイオレメディエーション・プロジェクトに反対する主旨を掲げている。そしてその背景に軍部の影があることを、多くの人はまだ知らない。

当プロジェクトにおける初代最高責任者。環境科学、地球生理学に通じている。短命種であったため、地上に降りたわずか後に死亡する。日鳥の父。

月輪の義母兄で、プロジェクトの最高責任者。死んだ大地を蘇らせる女神の資質を持つ。幼い頃に式王と出会い、元老院が実在だけの存在ではないことを知らされる。明晰な頭脳を持つが、ユスティノスと精神の一部を同化させてしまったために、残った精神のみでは正常な思考を保つことができず、あたかも気狂いの様相を呈している。（まれに正気に戻るが）FUZEであることや強いDamm因子の影響から短命種となる。中性的で柔らかな容貌をもち、ブレインの間に於いてはカリスマ的存在である。精神操作を受けた多海により命を奪われる。

年若くしながらも、地球生理学を始め多くの学問に通じている。鳥羽の息子で、最年少にして博士階級の免許を所持する天才児。父が自分を捨て地上を選んで死んだことに反発、反地球派主義となるが、地球学の知識を白木に見込まれてプロジェクトに協力。後に最高責任者となる。

科学技術担当。紫様、清水とは幼馴染み。短気で怒りっぽい彼は、笑える程に無器用で鈍感。ヘスペリデス内の温室管理もしているらしい。

機械化工学を担当。一角、清水の幼馴染み。子供好きで料理が趣味。人懐こい性格で、人見知りの激しい月輪や日鳥を気にせずやっていける数少ない人物。

遺伝子工学、及び生態遺伝学担当。紫様、一角と幼馴染み。

生物学を担当する。図体はやたらでかいが、気は優しくて動物好きで軍人嫌い。サウルとは外界のデータ収集などで行動を共にすることが多い。

気象、環境調査を担当する。通称サード。サードネームまで有することはこの時代非常にめずらしく、また彼の家柄の正統さを伺わせる。しかし彼の持つ浅黒い肌に白い髪の容姿はFUZEの血によるもので、それが彼を家から引き離す原因となった。華奢な見掛けによらぬ怪力の持ち主。

有似の孫で、一族の血を引くがその能力は受け継いではいない。ブレインの中では最も年齢の近い日鳥と親しくする。遺伝子工学担当。

＜ＮＯ−ＤＡＴＡ＞

サイバネティクス、及びシステム工学担当。事故により体の大部分をサイバー化、バイザーで視力を補っている。自らのマシン・ボイスを異質音と気にしているため、めったに言葉を口にすることがない。そのため周囲からは、人見知りの激しい機械マニアとして認知されている。自分の扱う電脳に『ロキ』という少女のパーソナリティーを与えている。存在感はあまりないが、冷静な判断力は頼りにされる。

プロジェクト内に於いて白木に次ぐ信望を有する人物であるが、実は彼が正式なブレインではないことを知る者は少ない。軍人である彼は、白木達の監視役として地上に派遣されている。エフラエムの精神操作を受けて、プロジェクト阻止のために白木を死に至らしめる。正気を取り戻した後、軍を脱走すると元老院に対する反乱組織サイレンの先頭に立ち破壊活動を繰り返した。中でもタンムズの破壊はエフラエムを始めとする多くの人命を奪う事となり、最終的にはテロリストとして処刑される。

白木の義弟。白木を狂わせたのが式王であると思い、彼を憎んでいる。式王の計らいにより、白木を元老院の元から連れ出して地上へ逃れさせる。子供の頃に肉親を失っているために、唯一血の繋がりのある白木に対して激しい執着心を持っている。地上では世話役として白木の側に付くが、短命種である白木がいつ死ぬのかという不安から逃れるべく彼の死を願い、精神崩壊を起こしつつある。白木の死後はそれを認めることができずに狂気に囚われたまま消息不明となる。浅黒い肌で、ストレートの黒髪を腰まで伸ばしているのは何らかの願かけであるらしい。

《ARK-SHIPS／No.275A》製造技術主任。端末の不審な行動に気づいたため、セランに殺されそうになる。端末の存在に対して反好意的であるが、死んだ友人に似たセランを気にかけていた。

フロイの所有する電脳内の疑似人格につけられた名前。金髪、碧眼で肌の黒い美少女の姿で投影される。複雑なパーソナリティーを持たないため、口調は極めて単調。ウイルス性を持つ『ミカエル』の情報体に接触し、システム崩壊を起こす。