■Darwin
あれからもうずっと長い間、何かを失ってしまった気がする。
決して傷つくことのない、痛みも、苦しみも失ったこの体で。



 
 [ダーウィン]
 

高野 栄希【たかや えいき】
自我構成意識の崩壊を起こなかった唯一のダーウィン。自分にDamm因子を投与した玲を憎み、ガラパゴスのハンターとなる。自らの変化を何の疑問も持たずに受け入れる他のダーウィンに対し、強い苛立ちを感じている。かなり卑屈な性格で被害妄想が激しく、他人の言葉を悪意に受け取りがちであるが、自分ではそのことに全く気付いていない。冷ややかな美喃の態度に反感を覚えており、何かにつけて対立を起こしている。自らの力を受け入れることができないために拒絶反応の発作をしばしば起こし、その対処策として精神安定剤の類を大量に服用する必要がある。口癖は『バカ』。玲=天野であることに気づいていない。

美喃【みのう】
本名『尾崎美生』。両親をDamm因子の実験により失っている。事故によって瀕死の重傷を負うが、Damm因子の発動によりダーウィン化し一命を取り止める。後に天野によって引き取られる。カインに対する強い憎しみが彼の生きる支えであったが、自我構成意識の崩壊によりその感情がどのようなものであったのか理解不能となっている。潔癖性で、他人に触れられる事を非常に嫌う。考え込むと口元を押える癖がある。ダーウィンが作為的に生み出された存在であることを知らず、異端者である自分は、ガラパゴスに保護・監視される必要があるという虚偽を信じ込んでいる。

瀬川 一樹【せがわ かずき】
ガラパゴスに敵対するダーウィンの一人。天野の正体を知っている。

宇川 友貴【うかわ ともき】
玲によってDamm因子を投与されたダーウィン。自我構成意識の崩壊が激しく、自己の意志をほとんど残していない彼は、亜矢子の命令に忠実に従う『生き人形』ともいえる。

内藤 清孝【ないとう きよたか】
神崎の友人。自我構成意識の崩壊が激しいために、ハンターにより処分される。

北上 良子【きたがみ りょうこ】
非公式のダーウィン。自我構成意識の崩壊が激しいために、ハンターにより処分される。


 
 [ガラパゴス関係者]
 

秋吉 玲【あきよし あきら】
エセルバート財団に養子として引き取られ、天野らと共にガラパゴスでDamm因子の研究を行う。この世のものではないような、はかなげな印象とは裏腹に、醜いものの存在には我慢ができないという偏執的に潔癖な面を持つ。ガン細胞に犯されている彼にとって、死はこの世からの救いを意味するため、彼を生かし留めようとするカインは憎しみの対象に他ならない。顔の左半分と右手の醜い痣を(右手で顔の右半分を防いだため)髪で覆い、手袋を外すことなく隠している。カインにその存在を恐れられていたことから、死後はカインに対する憎しみの象徴体として模られる。

天野 潮人【あまの しおと】
ガラパゴスの研究主任で美喃の保護者。教師のように説教を始める癖から、通称『先生』と呼ばれている。子供の頃に母親に首を切られ、瀕死の重傷を負う。その後エセルバート財団の元に引き取られ、秋吉らと共にDamm因子の研究を行なう。玲の死に責任を感じ、その罪の意識から玲の死を受け入れることができずに無意識のうちにその虚像をつくり出している。首の傷を隠すためにいつもハイネックの服を着ている。先端恐怖症。湊の実の兄。

加藤 七尾【かとう ななお】
エセルバート財団の養子として引き取られ、秋吉や天野らと共にガラパゴスでDamm因子の研究を行う。多くの人命を救うには多少の犠牲もやむを得ないという考えの持ち主。ダーウィンに対しても研究対象という認識しか持たない。玲の死を知らない。

カイン・桐生・エセルバート
エセルバート財団の次期総帥で、カラパゴスの創設者。クオーター。Damm因子の研究を行わせるために、知能の高い孤児を引き取り教育を施した。(彼らは既にDamm因子の実験体である)臨床実験として癌に侵されている玲にDamm因子を投与するが、その結果ダーウィン化した玲に命を狙われることとなる。(実際にはこの実験で玲は既に死亡しているのだが)

尾崎 美生【おざき みせい】
兄。カインの策略により命を落とす。同じ名を受けた美喃の父親。

尾崎 都【おざき みやこ】
美喃の実の母親で、天野らと共にガラパゴスの研究所で働いていた。唯一、玲の死を目撃していた人物。


 
 [FUZE]
 

成重 一瀬【なるしげ かずせ】
ユーラシオンや象徴体について語ることのできる数少ない人物。先天性のダーウィンで、境界を越えた人間の救出を仕事としている。象徴体は彼と契約を行った際に、彼の意識に取り込まれてしまっている。


 
 [その他]
 

佐倉 湊【さくら みなと】
潮人の妹。幼い頃に両親を亡くし、兄とは別に親戚の元に引き取られて佐倉姓となる。兄の養子先にいた玲を嫌っており、玲にこだわっている兄に対して反発している。美喃に気があるらしいが彼の前では全く素直になれない。栄希に対してはお子様扱いで、顔を会わせれば喧嘩をしている。何事も能天気な考えで対処しようとするところは、思わず兄妹の血の繋がりを感じずにはいられない。喜怒哀楽と、自己主張の激しい愉快な性格。

立花 亜矢子【たちばな あやこ】
桐生と対立しているタチバナグループ会長の孫娘。家族との関係が薄い彼女は、自分の願いを何でも聞き入れてくれる友貴を側から離さない。

神崎 誠一郎【かんざき せいいちろう】
栄希の通う高校の後輩。転入する以前の高校で友人だった内藤の死に疑問を持ち、その事件と関わりをもつ栄希達に対して不信を抱いている。

伊集院 薫【いじゅういん かおる】
神崎の友人。新聞記者で、ダーウィンに関する事件を追っている。

小津 京也【おづ きょうや】
桐也の双子の兄。品行方正な桐也と比較されるのを死ぬほど嫌っている。

小津 桐也【おづ きりや】
京谷の双子の弟。なんでも卒なくこなす優等生。カインの父。

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