休日の過ごし方12 (妄想話)
スコットランド・ヤード、特捜部長室。
ジョン・ホープに関する報告書を仕上げたアルは、レストレードにそれを提出した。
「客は本物、店は偽物というわけか…わかった。
ホープに関しては、しばらくはFBIからの連絡を待つとしよう」
「お願いします」
「ところで、ワトソンくん。イブカの件だが…」
朝になっても、イブカはフラットに戻っていなかったため、
アルは一応そのことを、レストレードにも短く伝えておいたのだ。
「昨日の今日ですから、気にする程のことではないかもしれません」
アルの言葉に、レストレードが渋面で首を振る。
イブカがロンドンにいる間は、身辺をMI5(SS)とヤードの捜査官に見張らせている。
レストレードは、アル・ワトソンにそれを知らせていない。
その捜査官から先程受けた報告のことを、レストレードは思い返していた。
「どうやら、単なる思い過ごしではすまないようだぞ」
「えっ? それは、どういう意味なのでしょうか」
「現在、あれの消息がつかめないという報告が入っておる」
アルの手が、無意識に胃のあたりを押さえる。
「ではまた、どこかの国に?」
「国外に出た形跡はないため、それはまだ何ともいえん」
レストレード部長は、一体何を言っているのだろうか。
アルの頭の中で、様々な可能性が過ぎる。
そのどれもが有り得るようで、判断ができない。
「ワトソンくん」
「…は、はい」
「行方が確認され次第、君にはあれを追ってもらう。いいな?」
「承知しました」
我に返ったアルが、慌てて返答した。
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