+妄想
休日の過ごし方25 (妄想話)

早朝の電車でフラットに帰宅したアルは、
シャワーを浴びて着替えを済ますと、足早にヤードへと戻った。

フラットは静かなまま、イブカは何処にもいない。

アルはそのことを考えまいと、ホープの事件に思考を集中する。
ホープが殺されなければならなかった理由。
あの店を捜索できれば、何か手掛かりが見つかるかも知れないが、
現時点では捜査令状など取れそうにもない。

(こんな時イブなら、鍵を勝手に開けて不法侵入しているだろうな…)

はっと気付いたアルが、脱線した思考に頭をふる。

それは静かな生活の中を吹きぬける、嵐のようなものだと思っていた。
激しい風が通りすぎれば、またいつもの生活が戻ってくる。
そう思っていたはずなのに。

…風1つない穏やかな空気が、どうしてこんなにつまらなく感じるのだろう。

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