休日の過ごし方28 (妄想話)
扉の向こうで激しく言い争う男の声に、アルはぼんやりと目を開いた。
周囲は暗く、空気は澱んでいる。
床に転がされたまま頭を上げてみれば、ここは古い倉庫のようだ。
粘着テープで縛られているらしく、手足は自由に動かない。
自分はなぜこんなところにいるのかと考えて、
ウルフと一緒にホープの店へと、向かったことを思い出す。
(あれから、僕は意識を失っていたのか…)
泥棒だか何だか知らないが、あの時まだ店内に誰かがいたのだ。
もしかすると、倒れていた人間も自分を油断させるトラップだったのかもしれない。
彼らは、一体何者なのだろうか。
少しでも状況を把握しようと、アルは耳を澄ました。
先刻の男の罵声は続いている。
「マヌケ共め、あれはヤードの捜査官だぞ!」
「仕方ねえだろ!? ガサ入れの最中に、いきなりあの店に来やがったんだ!!」
「アレを探せって、急かしたのはあんたじゃねえか…
だから俺達は、こいつがホープの仲間なら何か知ってると思ったんだよ!」
あれとは何だろう?
ホープの店で、彼らは何かを探していたのか?
「予定外だが、仕方ない…」
男の声色が変わる。
「夜になったら、ここに火をつけるんだ。
倉庫にある品と一緒に、彼も処分してしまえばいい」
思わず声を上げそうになるのを、アルが懸命に堪える。
ここから逃げなければ――でも、どうやって!?
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