LA VIE EN ROSE 2 (妄想話)
アルのいないフラットには、電話がかかってくること自体が珍しい。
どうせまた、リンダからに違いないと居留守を決めたイブカに、
電話の呼び出し音は執拗までに続いた。
「リンダじゃねーのか〜?」
イブカは首を傾げて、しぶしぶ受話器を取る。
次の瞬間、耳の割れそうな程のウルフの罵声が飛び出した。
『そこにいるなら、さっさと電話に出やがれッ!!』
顔をしかめたイブカが、慌てて受話器を遠ざける。
「うるせー! 耳が壊れたらどーすんだッ!?」
『そんなの知るか!
いいからお前は急いで、聖バーソロミュー病院に来い』
「病院……?」
『容疑者の根城に乗り込んで、爆弾の爆発に巻き込まれた』
イブカが、受話器を見つめる。
こいつがわざわざ電話をかけて来るほどの怪我を、アルがしたって言うのか?
『聞いてんのか、イブ』
「オレは、医者じゃねー」
感情の抜けた声で、イブカが答える。
『つべこべ言わずに、さっさとアルを迎えに来やがれ!』
ウルフが早口に怒鳴りあげて、一方的に通話を切る。
イブカは無言で受話器を置くと、部屋を後にした。
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